オシム・キャット?


この時期になると目立って増えてくるのがセミの死骸。いや、死ぬ間際の断末魔の叫びのような叫び、うめく声。
正確にはあれは声ではなく羽を擦り合わせているのでしょうが、最期の力をふりしぼった「ジ、ジジ」とかいう声が耳障りなのです。


ところがこの音をじっと耳をすまして聞き入っている者がいます。
ネコです。
先日、帰り道の公園で、いつもどおりセミがのたうちまわっていました。
「ジ、ジジ」
すると向こうの方からにゃんこがロングラン!オシムチルドレンかと思うほど長い距離を、その音源に向かって突き進んできたのです。


だがセミもさるもの、ネコの剣幕に驚いたのか、最期の力でどこかへ逃げたようです。ネコはというと、その音がしたらしい場所でじーっと耳をそばだてて、弱ったセミの行方を探しているようです。
そこでアタシはいたずら心を出し、軽く舌打ちをすると、にゃんこは弾かれたようにこっちに振り向き、『黙っとれ!』というふうに睨みつけるのです。


結局あのセミもやがてはにゃんこの胃袋のなかに入ってしまうんだろうなぁ。