一人で飲むということ


 最近、「馴染み」と呼べるような店(飲み屋)ができました。
 普通はそれは「最近」できるものではなく、ある程度の年月とまでは言いませんが月日をかけて培っていくものだと思います。
 現に、もう20年以上通っている店もありますが、こっちは「馴染みの店」と思っていても、店側はこちらのことなんか知らない、ということも往々にしてあるわけです。


 それが、アタシの場合、トントン拍子にできてしまったのですね。しかも3軒も。


 きっかけは昨年のラグビーW杯です。時差の関係もあり、午後5時キックオフという試合がけっこうありました。それを見たいがために、仕事はフレックスをいいことに、朝8時ー夕方5時という時間帯にシフトし、周囲には気付かれないように!?早帰りを続けました。そしてライブ中継を放送していた店に通い詰めたのです。


 それも試合によって3軒を使い分けていました。
 1軒目は職場から最寄りで、徒歩10分弱。W杯期間中はもとより、終了後も通いました。Jsportsのラグビー放送スケジュールをチェックし、他のお客さんが画面を見ていないことを確認した上で、チャンネル変えをお願いしたことも一度や二度ではありません。ある意味ブラックリスト入りだったのかもしれませんが、店長に顔を覚えられたのは間違いありません。しかし、それ以後もラグビーをやっている、いないにかかわらず顔を出すようになると、その度に店長が席まで挨拶に来てくれました。


 もう1軒はちょっと職場からも離れているし、自宅とも方向が違うのですが、それを差し引いても非常に魅力的なラグビー専門の飲み屋で、コアなファンが集まる店です。しかしそんな店とはいえ、毎日のように開店の5時から来る客なんて滅多にいません。ここのいいところは、ラグビー専門ということもあり、ビデオに録画してあって、ライブでなくても行けばいつでもラグビーの試合が見られるということです。したがって、春夏のオフシーズンにもそれなりの頻度で通いましたが、むしろシーズンが始まるとスタジアムで観戦することが多くなり、最近は足が遠のいているのが現状です。忘れられないうちにまた行かなくては。


 3軒目はたまたま行った店で、突然声を掛けられました。なんか見覚えのある人だなと思ったら、なんと以前1軒目の店で働いていた方で、私のことを覚えていてくださったのです。(やはりブラックリストか…)しかもこちらでは店長で、名刺までもらっちゃいました。「野球ですか?」と聞かれたので「いや、ラグビーです」と答えたら、「うちはラグビーいっぱいやるんで、ぜひ来てください!」と。

 でもなあ。

 秩父宮は目と鼻の先。ここで観るならスタジアムで観るよあ、なんて思ってたけど、一度来てみたら意外に快適。正直、冬の秩父宮って寒いんですよね。そこで2試合=4時間もじっと座ってたらカラダの芯まで冷え切ってしまうのです。だから1試合はここで観て、もう1試合はスタジアムで、なんて見方もけっこうアリですね。
 さらにこないだなんか、たまたま時間ができたので立ち寄ったら、お客さんがいなかったので、てっきり貸切が終わった直後かと思ったら、全くそんなことはなく、ホントに入りの悪い日だったみたいで、むしろ来店にすごく感謝されてしまいました。それに乗じたわけではないのですが、チャンネルをラグビーに変えてもらいました。「日大vs大東大」なんていうかなりシブい試合でしたが。しかも音声まで入れてくれるサービス付き!やっぱ店長は違うなあ。そしたら(って接続詞で繋いではいけないかもしれないけれど)徐々にお客さんも入ってきて賑わい出しました。これで私の役目は終わり、試合が終わると同時にさっさと席を立ちました。もちろん店長に挨拶とお礼を言って。


 でも、悩み事も増えました。
 忘れられないように、「馴染み」であり続けるためには、ある程度通い続けなければなりません。


 継続が最も苦手なのです。


 あー、ユ・ウ・ウ・ツ。