接頭辞


最近のクレヨンには「うすだいだい」という色があるようです。

何のことはない、昔で言うところの『肌色』です。
そう、コトバ狩りかと言うとそんな安直な話でも無さそうです。
日本に住む外国人も増え、それこそ人種が違い、肌の色は違うものの、日本語をちゃんとしゃべる、むしろ日本語しかしゃべれない、そんな子供も増えてきました。
そういう状況では黄色人種を基準とした「肌色(はだいろ)」は相応しくないのかもしれません。


だからといって「うすだいだい」っていうのはいかがなものかと思ってしまいます。
怠慢といってもいいかもしれません。
薄い青を「うすあお」とは言いません。「水色」ですよね。緑なんかは自然が豊富なクニらしく、色の名前も「萌黄」「若竹」「松葉」「山葵」などいろいろモチーフを見つけては名付けています。


このように日本には古くから伝統的な色の名前を持っています。
肌色に近い色なら「丁子色(ちょうじいろ)」や「淡香(うすこう)」なんて色があります。馴染みがなくて親しみにくいというなら「杏色(あんずいろ)」なんてかわいくてよさそうじゃないですか。


話は変わりますが、いわゆる『平成の大合併』により、歴史ある地名がいくつも抹殺されました。
最近の例で言うと、こないだ伊豆に行ってきたのですが、三島から南に向かう途中、「伊豆の国市まで00km」、「伊豆市まで00km」なんて、もうとっくに伊豆に来ているのに、どこへ行けばいいんだーってカンジ。
ちなみに以前ならそれぞれ「伊豆長岡まで」「修善寺まで」という表記でした。
改悪の典型的な例ですわね。


逆に新しい地名も安直です。
造語は言わずもがな、埋め立て地ならまだ造語や「新○○」などはわかるんです。
「新交通(死語!)ゆりかもめ」が豊洲まで延伸した際にできた「新豊洲」なんかは、埋め立て地で元々なんにもないところだからいいと思うんです。まあ、将来を先取りした隣りの「市場前」なんかは、有害物質が基準値を超えていることが発覚し、はたして市場が来るのかどうかあやしいですけど。


でも日本最大の広告会社や日本最初の民放テレビ局などがある「港区東新橋」ってのは、確かに位置的には間違っていないのだが、どうして「汐留」という江戸以来の歴史を持つ地名を使わなかったのか甚だ疑問であります。


「東・西・南・北」を頭に付けるのは最も安直で美しくありません。
例えば神奈川県の県庁所在地に「横浜」があります。
新幹線が止まるのはそこから少し離れた「新横浜」です。
ここまではいいでしょう。なにせ、当時その周辺には何もなかったし、世界初の超高速鉄道が日本鉄道発祥の地の一つである「横浜」の名の付く駅に止まる必要があったでしょうから。
でもその後、新横浜が栄えると、横浜市営地下鉄も通り、となりには「北新横浜」なる駅が登場します。この「北」と「新」の2つが付くのは全く美しくありません。もう「勝新横浜」とかでもいいんじゃないかと思ってしまいます。


なぜアタシが「東西南北」を美しくないと感じるのか、その根拠は相対性にあります。
「新横浜」は、今や横浜がなくても新横浜たりえます。でも「北新横浜」は新横浜が改名したら、位置がわからなくなっちゃいそうで恐いんですよね。
東京都田無市保谷市が合併してできた「西東京市」なんて、日野市や羽村市などそれ以西のことなんかまるで無視ですもんね。


ま、話は長くなりましたが、今は「新加勢大周」の行く末が気になって仕方ありません。