AKBファンではない6


 これまでも何度か書いてきたので、さすがにもう分かっていただけていると思っていたのだが、どこかにボタンの掛け違いがあるといけない(そうか?)ので屋上屋を架すようだが、あえて言おう。カスであると!


…私はAKBファンではない。
(ちなみにガンダムファンでもない。)


 と否定し続けている(のは明石だけれども)にもかかわらず、なぜかよくリアルに「AKBのファンなんですか?」と聞かれることが多い。誰かがガセネタを流しているのだろうか。それとも誰かがアタシの机の上にAKB48グッズでも置いていっているのだろうか。


 そしてそう聞く時には、なぜか皆なんとか白い目を隠し、嘲笑を噛み殺しながら尋ねるのである。(いいトシこいてAKBファン?キモッ!)という心の声が、こちらには丸聞こえである。


 そんな時、その人はどんな答えを求めているのだろうか。
 「キモッ!」って言いたいだけなのか、「変態!」って罵りたいのか、「私もなんです!」とカミングアウトしたいのか、さらに実はその人はアタシのことが好きなのでアタシがどんな女性を好きなのか気になっているのではないかとか、妄想が暴走しはじめ、つまりアタシはその真意を図りかね、戸惑ってしまうのである。
 しかし、戸惑ったまま無言でいることは肯定を意味してしまう場合が多いので、何とか否定しなくてはと足掻く。

 その結果、口をついて出た言葉が…


「いや、違うよ。AKBファンではないよ。んー、SKEだから。」


というはぐらかしのセリフだったのだ。そう言い放つことで、その乾いた嘲笑を表に出し、ガス抜きをさせるのだ。
 しかしその回答は、たいていは裏目である。さらにマニア度の高い人間だと認めてしまったようなものだからだ。


 さらに、最近では本気でアタシがSKE48のファンであると信じる人も出てきてしまったようだ。
 またこれも否定しなければならない。SKEファンだというのは偽装であり、あくまでネタであると。


 以前から書いているように、板野や前田や珠理奈やさや姉やぱるる(あれ、増えてる?)は好きだけれど、AKBやSKEやNMBやHKTやSHNやJKTやSDNや乃木坂のファンではないのである。


 だが、よくよく考えてみると、実はAKB48らの歌はけっこう好きだったりする。何か耳心地がいいのだ。でも不思議なことに?板野の声も前田の声も珠理奈の...(中略)聞き分けることはできないのである。

 これは、若い女性たちの歌声、それも何人もの声が重なった歌声は、ヒーリングというか癒しの効果があるのではないかとアタシは疑っている。もしかしたら誰か声の研究でもしていないかと調べたこともあったが、「女性 グループ 声 研究」でググると何故か『喘ぐ大根』とか出てきちゃうし、それは余談としても、人はどうやら好きな人の声に癒されるというか幸せを感じるものらしく、これを突き詰めるとアタシがAKBファンであることを認めることになってしまいそうなのでやめておく。単に若い女のコたちが好き、ってことでいいのではないかと思ったりする。別に若くなくても好きなのだけれど。


 翻って、その歌詞に共感してしまうことがよくあることは認めざるを得ない、つい先日も人事異動で去っていく者を思いながら卒業ソングを聞いて泣きそうになったことすらある、疲れた時に前向きな気持ちになれたり、震災後の応援歌も他のように絆や頑張れというものではなく真っ直ぐ立ち向かっていく詞に感心したこともある、とつらつら書こうと思ったが、作詞を担当する秋元康が(すべてではないだろうけれど)AKBのメンバーらの普段の行動を観察してそれを切り取っているだけだ、と言っていたのを聞いたことがある(昨年末のレコード大賞だったかな)。

 ということは、アタシはAKBらと同じ感性を持ち、文字通りピュアハートの持ち主であるとも言える、なんて書いたら変態街道まっしぐらよな、なんて思ったりして...




書いてしまった。



 しかし、賢明な読者ならもうお気づきであろう。



 そう、アタシは秋元康の歌詞のファンである。
 1985年の「およしになってねTEACHER」以来、私は彼の虜だったのである。



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