利便性と情報のあいだ


ICタグでの商品管理が、業種によっては実験段階を終え、徐々に実用化されている。


このたび阪急百貨店では、客がICタグを持ち、連れの居場所が分かるサービスの実験をはじめるという。家族やグループで来店しても、それぞれが自由に買い物したり、迷子の防止に役立つという。


これは上記サービスの目的のみに使用するなら結構なことだが、ひいてはプライバシー侵害に発展するおそれがある。便利さあるいはサービスという名目で百貨店の会員カードにICタグで購入履歴を表示し、最も適した商品を薦められる、というサービスがはじまるに違いない。これは一見便利かも知れないが、購入したものを知られてしまうというのはかなり恥ずかしいことではなかろうか。


さらには住基ネット住民基本台帳ネットワーク)の番号と連動したり、身近な図書館のカードなどとも併合して、あらゆる情報が一枚のカードなどで管理されてしまうおそれがある。
読書暦というのは、その人の思想・信条を調べるのにもってこいのデータである。それと姓名などをリンクしてしまえば、これはまるで警察による犯罪予備軍リストと大差ないものができあがってしまうのではかろうか。


ICタグは非接触型のデータ読み取りが最大のメリットであるが、これは読み取り装置があれば
直接働きかけなくてもあらゆる情報を盗み読むことができるということでもある。
話題喚起や準備不足の状態など、安直な導入は自制すべきだろう。