リスク&ベネフィットで考える 米国牛肉輸入再開


BSE問題で、アメリカからの牛肉輸入再開が期待される。


日本側はこれまで全頭検査、全頭検査ってうるさかったけど、専門家によると異常プリオンってのは生後20ヶ月以下の牛では蓄積されていても検出できないらしいのだ。日本の消費者は潔癖症だからお墨付きがほしいのだろうが、もともとやってなかったし、やっても検出できないものの検査を求めても無駄ではないだろうか。もし全頭検査をして国が安全という太鼓判を押しても、リスクは全く変わらない。国に責任を押しつけられるか、それとも自己責任なのか、というだけのことだ。
それよりも危険部位(SRM)の除去を徹底的にしなければならない。全頭検査に目が向くあまり、SRMの除去がおろそかになったり関心が薄れたるするのが恐ろしいことなのである。


だが問題はまだあって、この生後20ヶ月以下というのが、日本では全頭把握しているのだが、アメリカではそうではなく、肉色や硬さといった肉質で判別しているらしい。これを日本側が拒否しているのだが、近いうちに実験データを精査した上でGOサインが出る見通しだ。でも政府がOKしたからといって、消費者がその肉を買うか、どういう判断をするかは別問題だ。ちなみに月齢が確認できる牛の肉だけを輸入するという案はアメリカ側が拒否している。


よく調べてみると、アメリカのBSE感染牛は1頭、患者は1人。しかもその牛はカナダからの輸入牛で、患者はイギリスに長期滞在し、その期間中にSRMを食して感染した疑いが強い。加えて言えば、アメリカの飼育頭数は1億400万頭で、そのうちの1頭(しかも輸入牛)である。日本でスズメバチに刺されて死亡する確率(年間20人程度/1億2,000万人中)よりずっと低いのである。つまり内国産牛の危険度は極めて低いと言え、現にアメリカ人は普通に牛肉を食べている。


このくらいのリスクは、他の食物にもいくらでもあるのではないか。
潔癖症も極まれり、である。
生産者、政府、輸入業者、販売者には情報開示を求め、消費者はそれを自己責任で判断し食するべきだと思う。